2008年元旦。風強し、されど晴天なり。
ごっつう冷え込みましたが、素晴らしいお天気で2008年が明けましたね。
本年も宜しくお願い致します。
大晦日の深夜から、延暦寺の鬼追式で有難い「デコペッタン」を頂いて参りました。
正しくは、牛王宝印(阿弥陀さんを表す梵字に祈りを込めたご朱印)。
これで、この一年、無病息災・家内安全のご利益が授かります。
毎年の恒例で、息子たちがボーイスカウトの奉仕活動で、
延暦寺東塔(根本中堂周辺)の初詣雑踏整理に参加しています。
元々は、その頑張っている姿を見てやろうというのが魂胆なのです。
そのついでに、節分の行事と同じような追儺式が行われるので、
その鬼見物もしてきました。
三匹の鬼が、それぞれ人間の心の悪行を表しているのです。
・黄鬼が笑い鬼で"むさぼり"の心。
・赤鬼がおこり鬼で"怒り"の心。
・青鬼が泣き鬼で"ねたみ"の心。
そして、最後に登場する四匹目の灰色鬼が、三匹の悪行の全て備え持つ最強の鬼で、
法力を持って三匹の鬼を改心させた錫杖師と、三匹の鬼が協力し合って、
最強鬼を退治するというストーリーになっています。
セリフはほとんどなく、鳴り物は太鼓のみで調子をとり、
ちょっと壬生狂言を思い出してしまいました。
始まりは、午後11時と聞いていて、ふと時計を見ると、もう11時5分になろうとしていたその時、
根本中堂での法話が終わって、五人のお坊さんが出てきました。
事の成り行きが見渡せる壇の上に乗って、五人が整列しました。
次に一人の僧が、この場を清めるようにグルッと一周まわりました。
広場にある大きな焚き木の山に火が点けられました。
焚き木が大きな炎を上げはじめた頃、「錫杖師」が現れました。
法力を持って鬼を退治し改心させる正義の味方なのです。
さあ、次に現れたのは、心の悪行"むさぼり"の化身・笑い鬼。
太鼓の音にあわせて踊りながら、広場を一周します。
手には長い柄がついた小鼓?のようなものを振り回しています。
見物の初詣客に、うなり声を上げています。
何度かやり合があった後、錫杖師に見事打ちのめされて静かに控えてしまいます。
さあ、次は心の悪行"怒り"の化身・おこり鬼の登場です。
手には長い柄のマサカリを持ち、錫杖師とのにらみ合いが続きます。
その瞬間、錫杖師が大きくジャンプ。
大上段から振りかぶった錫杖で脳天を打ちのめされ、敢えなく降参となりました。
三番目の青鬼は、泣き鬼。動きは早いけれど、泣きじゃくってばかりで勝負にならない。
手には短い棍棒?か何かを持っている。同じく錫杖を打ち込まれて降参してしまいました。
そうして、灰色の姿、しんがりの最強鬼。
見かけは貧弱、風貌も華奢ですが、何の何のその強さは先の三匹とは段違い。
錫杖師は、ウルトラセブンのカプセル怪獣のように、
改心させた三匹の鬼を一匹ずつ戦わせますが、まったく歯が立ちません。
そこで錫杖師+鬼三匹のチーム作戦で戦うことに。。。
三匹の力を合わせて最強鬼を押さえ込んだ。
そこですかさず錫杖師が、
壬生狂言の演目"土蜘蛛"で出てくるような紙糸を繰り出して、
最強鬼を絡め取る。
動きが鈍ったところを錫杖で一喝。
さすがの三悪行の最強鬼も参った降参。
事の成り行きをすべて見ていた五僧侶の前で整列して、
一同が無事に終わったことを報告する。
これで、鬼追式は終了するのですが・・・・・次の瞬間!!!
参拝客が、その五僧侶の前に殺到するのです。
何を殺到するのかといいますと、
一番最初の画像で見ていただいたとおり、
"牛王宝印"を頂くのに並んでいるのです。
私は、茶化して「デコペッタン」などと言うてしまいましたが、
それはそれは有難い、阿弥陀如来を表す梵字に祈りを込めたご朱印なのです。
この印は、初詣の方々のおでこに、ペッタンペッタン僧侶によって押されます。
老若男女、みんなみんな同じように。
旧年一年の自分を振返って、自分を反省し、
真っ白な心持で、新しい年を無事に楽しく過ごしていける様に、お願いするのだそうです。
直接、デコに御朱印を押すのは、「ちょっと、かなんな~ぁ」と思われる方は、
幸先矢(こうせんや)に付いている絵馬を額に当てて、
その絵馬に朱印を押してもらうという方法もあります。
これで、この一年、無病息災・家内安全のご利益が授かります。
錫杖師と三匹の鬼はあの後、除夜の鐘を打ちに鐘つき堂へ行っています。
この後、根本中堂に上がらせていただき、お参りをしてきましたら、
最強鬼が改心して、根本中堂の中で牛王宝印をペッタンペッタン授けてはりました。
御朱印を押すとき、「何とかかんとか・・・ほにゃららソワカァ」と唱えてはりました。
内陣から堂内はもちろん撮影禁止で撮れませんでしたが、
それはそれは、言葉には表せないほどの空間で、仏教宇宙が集約された景色が広がっていました。
夜に見るその風景は、昼間のその比ではない素晴らしさでした。