『山王祭2007』 山王七社 神輿渡御

ずんずん

2007年04月23日 22:18

先日、人の紹介で『京のまつり研究会』に入会した。

以前から興味は持っていたものの、なかなか踏み切れずにいたところ、

快く紹介していただけることになり、トントン拍子で事がはずみ、

入会後、初の例会が「山王祭見学会」。なんと地元の祭で初参加であります。


湖国三大祭の一つ、『山王祭』。

”山王祭”と書いて”さんのうさい”と読む。”さんのうまつり”ではない。理由は知らない。

大津に引っ越して初めて知ったことの一つで、それまでは、「さんのうまつり」って言っていた。


桜が満開を迎えるこの季節、

春の訪れを讃えるように山々が美しく輝きだすこの季節に、

七基の神輿が勇ましい男共に担がれて、

圧倒的な迫力で八王子山から坂本の町を駆け抜けるのである。


3月の第一日曜の「神輿上神事」で始まった、この祭の最後の山場。

4月14日の「拝殿出し」から「船渡御」の模様を追ってみた。





比叡山坂本駅前の「登煌」で昼食・ミーティングのあと、
日吉大社へ向けて出発。
あまりの天気の良さに、歩みもゆっくりゆっくり。



ちょうど、生源寺の前辺りで
日吉鼓童の皆さんによる太鼓の演舞。
うまいもんであります。




坂本市民センター前で、お祭にご奉仕される方々がお払いを受け、

お神酒も頂くことで、心身ともに清められ、

最後まで怪我なく無事にお勤めを全うできるように祈願いたします。

神さんとおんなじもんを口にすることで、神さんと一心同体になり、エネルギーをもらうのです。

ですから、老いも若きも、さらに幼きも、みんなみんなお神酒を頂くのであります。

「小っちゃい子に、酒飲ませてるで。」
「ちゃうちゃう、あれはお神酒!」
「なるほどなぁ・・・」




拝殿出し神事まで静かに力を蓄え、その時が来ると一気に爆発します。








腕を組み、参道の馬場・横幅いっぱいに広がり、三の鳥居?に向かいます。



駕輿丁たちは、参道の馬場を上りきると、

腕を組んだグループごとに、結界を越えて大宮橋を渡りきるまで、猛然とダッシュを始めます。

そうして、山王鳥居の内側、神々が坐します神域の中で、その時を待つのです。



その駕輿丁たちが通り過ぎた後、さっきまでのエネルギーの塊のような行列とは好対照に、

神職を先頭に、鎧武者・役員の方々の行列が整然と進み続きます。



西本宮の境内では、山王七社の神輿が、深山の霊気に包まれて、静かに腰を据えています。

しかし、もう間もなく始まることに共鳴するように、

耳に聞こえない低い声で唸っている様にも感じるのです。




さあ、駕輿丁たちもぞくぞくと集結しています。鎧武者たちも山王鳥居に着きました。

いよいよその時がやってきました。




西本宮の中で、その時が来るのを静かに息を潜めていた駕輿丁たちが、

一気に立ち上がり、われ先に神輿を拝殿から引き摺り下ろしていきます。



荒いようですが、本当に引き摺り下ろしているという表現がぴったりなのです。






弾き出るように、次々と七基の神輿が担ぎ出されていきます。





まだ轅を着けていない神輿を、駕輿丁たちが群がって躍らせるのです。

動き出したらもう誰も止められない勢いです。






さあさあ、ひと心地ついたら大人しくして、轅を着けて正装しましょうか。

まだまだこれから、何ぼでもいけまっせ~




轅を着けて、縄で締めていくのも早い早い。

七基の神輿は、あっという間に巡幸態勢を完了。もう臨戦態勢に入っている。






神職の祝詞奏上が終わるか終わらないか、とにかく雪崩を打つように神輿が動き出したのです。

扇で神輿を招き、雑踏を前で捌く鎧武者も、殺気立ってきました。




山王鳥居をくぐって、参道を駆け下りてゆきます。

広い参道が狭く感じる人の密集と怒号のごとき掛け声。





この坂は、一見緩そうに見えるのが曲者。

走り出すと加速がついて止まれなくなる恐ろしい坂なのです。

綱を持った駕輿丁が、必死になって引っ張りブレーキを掛けているのです。

そうしないと、大宮橋までまっしぐら。

スピードが付き過ぎて、崩れ落ちる危険性もありなのです。




無事に参道の馬場まで出御しました。

桜並木の中を、大勢の氏子たちに囲まれて、さぞや神さんも上機嫌になったはるやろか。

七基の神輿が、ずらり一直線に連なっているのは、なかなかの景色です。



ここ二の鳥居でトラックの荷台に着御され、あとはユラリユラリと七本柳へ。



七本柳に先回りして待っていると、ぞくぞくと神輿が到着。

また駕輿丁たちの肩の上で、心地よさそうに神輿が踊るのです。





西本宮の神輿に祝詞が上げられ、終わるが早いか駕輿丁たちが殺到。

競うように神輿を担ぎ出しました。じわじわと傾きながらも、台船の方へ移動していく。

あとは次々と、鎧武者の招きに呼応して、乗船していく神輿。





七基が整然と並んで、湖上に有るさまは、すごく不思議な絵です。

港から出帆した船の乗客と、見送りの人たちが、別れを惜しむ光景のごとく、

長く長くいつまでも、鎧武者は頭上で扇をかざして、扇いでいました。




船に曳かれて唐崎神社沖の湖上で、粟津の御供献納祭が執り行われるのです。

今日は天気がすばらしく、近江富士がよく見えている。



七本柳を後にして、日吉大社までゆっくりと旧道を歩きながら、目に付いた景色。

下坂本の東南寺の大津垣。なんとも風情のあるデザインでしょうか。

仁丹看板のアンテナが、反応してしまいました。思わず撮影。




戻ってきた参道の馬場。

もう出店はきれいにいなくなって、もとの静かな参道の馬場に戻っていました。

日も傾き、薄い逆光の中で、残り桜が煙るように見えていました。


あ~ぁ、終わったのか・・・

祭の余韻を思い出しながら、もう来年の山王祭を思い浮かべているのです。 (早っ!)




■船渡御 ~七本柳の浜~


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