京都ずんずん

　

今日は冷たい雨が降った。
きれいに色付いた桜の落ち葉が、雨に濡れてさらに紅を深めている。

東洞院通蛸薬師の角に御射山公園がある。
一時は、ラジオ塔があって注目されていた公園だが、
今、地下駐車場建設で、以前の面影は消えてしまった。
公園の傍らの石にふと目がいった。
なんと、蓮華の台座石である。
おそらく石灯篭の台石だったのだろう。
以前、公園になる前、ここにあった町家の坪庭に収まっていたものか。

この御射山公園。
御射山と書いて”みさやま”と読む。
長野県の諏訪大社とも非常に関係の深い土地柄である。
史実では、江戸時代の一時期、祇園祭に山を出していたらしい。
短期間で焼けて絶えてしまったのか、詳しいことはまったく記録にない。
山を出す前は、諏訪の町と呼んでいたが、山を出すことを記念して御射山町と改名した。
祇園祭に山を出すというのは、
それは、町の人たちにとって誇らしいことだったろう。
その後、御射山町は月鉾の寄町として、下から祗園祭を支える側にまわる。
山はなくなったが、名前だけがその事実を今に伝えている。